日曜日, 5月 10, 2009

祖母

祖母が入院した。

大腸ガンの末期だそうだ。
高齢の為、抗ガン剤の投与や放射線の治療等は
高齢の為、しない事にした。

祖母は私の育ての親だった。
生まれてから、小学校を卒業するまで
育ててくれた。

祖母はかなり痴呆が進んでいる。
数週間前に祖母に会いに行った。
恥ずかしかったが、祖母に初めてお礼を言った。


「今まで育ててくれてありがとう」


祖母が言った。
「当たり前だ」


きちんと挨拶が出来る人間に育ててくれて、
ありがとう。
良識のある人間に育ててくれて、
ありがとう。
人の痛みを知る事が出来る人間に育ててくれて、
ありがとう。
きちんとお礼を言える人間に育ててくれて、
ありがとう。

この全てが祖母にとって「当たり前」の
事だったと言う。

涙が止まらなかった。
自分の人生の大半を、私の子育ての
時間に費やしてくれた。
どれだけお礼を言っても足りないくらいだ。


今日は母の日。
私の母は祖母だ。
何も出来ない自分が情けない。
祖母の老後は、祖母の好きな様に
生きて欲しかった。
祖母に自分の時間をあげたかった。


私は無力。
あとは神様にお願いするしかない。


「これからの僕の人生の運を
祖母の為に使って下さい」

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