5月4日。
思い出の場所に行ってきた。
当然、彼女は来ない。
解っていて行ってきた。
待ち合わせ場所に着いた。
1人、空を眺めた。
天気の良い日だった。
しばらく待とうと思ったが人が多く、1箇所に留まる事が出来なかった。
仕方なく先に進む。
あの時のあの道を1人で歩いて行く。
あの時の記憶が蘇ってくる。
楽しかった事。
腹立たしかった事。
嬉しかった事。
悲しかった事。
忘れていた事も思い出された。
そして目的地に着いてしまった。
こんな所へ1人で来ている者は珍しいだろう。
だが、そんな事は気にせず中に入っていった。
中に入ると更に記憶が蘇ってくる。
手を繋いで歩いた事。
昼食を食べた事。
写真を撮った事。
乗り物に乗った事。
あの時、全てが輝いていた様に思えた。
1人、ベンチに腰掛けると親子連れが子供をあやしていた。
その子供が私に微笑みかけてきたので、私も笑った。
その顔が子供の目にはどのように映ったのだろうか?
おそらく笑ってはいなかっただろう。
何の為に来たのか?
何をしているのか?
その日、吹いていた冷たい風が答えを隠そうとしていた。